家づくりのこと

住宅市場動向調査|住宅の「購入価格」と「年収」の関係?

2020/05/28

今回のテーマは、住宅の「購入価格」と「年収」の関係とは?について書きたいと思います。

参考にするデータは、国土交通省 住宅局が出す統計資料である「住宅市場動向調査」です。

この住宅市場動向調査は、2018年4月~2019年3月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象として、 次に掲げる住宅の種類別に調査を行った調査内容で、その中のものを抜粋して紹介したいと思います。






この世帯を対象に、住み替え・建て替え前後の住宅、その住宅に居住する世帯の状況、住宅取得等の資金調達等の状況について、調査結果を抜粋したものです。
これから住宅の購入を考えていらっしゃる方は、参考資料になるかと思います。




 購入価格と年収倍率(三大都市圏)


[ジャンル]分譲マンション/中古マンション/注文住宅/分譲戸建住宅/中古戸建住宅
[対象エリア]三大都市圏
[購入価格と年収倍率]



ここでの年収倍率とは、住宅を購入した価格を平均年収で割ったものを意味します。

年収の何倍の住宅を購入しているのか?の目安を指すので、年収倍率が低いほど住宅を買いやすく、年収倍率が高いほど買いにくいことを示しています。













購入価格は、注文住宅が500万以上上がっていますが、他はほぼ横ばいと言えます。

それにともなって、年収倍率の指数も注文住宅は6.51になり、ジャンル別に見ても一番高くなっています。

これは、概算で計算すると、、、

年収700万(月50万+年ボーナス100万)の世帯が、4,557万(700万×指数6.51)をかけて注文住宅を購入したということを意味します。

ちなみに、この4,557万には土地の購入費用も含まれている計算。


この記事を読んでいる方の中には、住宅の購入をお考えの方が多くいると思うので、この年収倍率を照らし合わせてみてください。

あくまで平均ではありますが、この年収倍率よりも大きく上回っている世帯では、銀行の査定が良しを出しても、もしかしたら借り過ぎじゃないか?という疑問の目も持っておいた方が良いかも知れません。


特に今は、コロナの影響で年収が下がり、ローンの返済に頭を悩ましている世帯も少なくありません。

また、収入が減って持ち家を売りに出している世帯もチラホラと中古住宅市場に出回り始めています。

大きな買い物の責任は全て自分にありますので、返済期間中のキャッシュフローなどはよくシミュレーションをしておきましょう。






住宅ローンを提供する国内の金融機関の多くが、中古取得者よりも新築取得者に対して力を入れている傾向にあります。

地震大国日本では自然災害のリスクもあり、それに伴ってどんどんと建築基準法や建築確認の制度が見直されているため、金融機関の住宅を査定する目が、中古住宅に対してはまだまだ厳しいということだと思いますが。


国内では、経済を活性化させようと住宅業界の活性要因となる超低金利を続けています。

なので、この優遇金利を活かして、審査基準も緩めでドンドンと住宅ローンを進めていて、それにともなって、年収倍率が上がっているのだろうと考えられます。


また、マンションの購入価格ですが、新築・中古変わらず、ここ5年でジワジワと1-2割程度上がっています。

オリンピックに向けて、特に都心部での住宅取得のニーズが高まり、価格帯が高くても「建てれば買われる」状況がここ数年は続いていました。

これは去年2019年3月までの数値なので、オリンピックの開催が危ぶまれている中で、ここ1.2年でのマンションの価格の値崩れや、中古マンションの取引きに、大きく影響してくるのでは?と考えられます。




ジャンル別の世帯年収


[ジャンル]注文住宅(全国)/注文住宅(三大都市圏)/分譲戸建住宅/分譲マンション/中古戸建住宅/中古マンション/民間賃貸住宅/リフォーム住宅
[対象エリア]全国(注文住宅は三大都市圏も)



このデータは、ジャンル別に住む世帯の年収をグラフで表したものです。





一番高いのは、分譲マンションの世帯年収798万円。

続いて、三大都市圏の注文住宅の世帯年収781万円。

その次に、全国の注文住宅の世帯年収744万円。

逆に、一番低いのは、民間賃貸住宅の世帯年収477万円、となりました。


世帯の年収が上がることで、欲しい暮らしを形にしていくという意味では、賃貸住宅<分譲・中古住宅<新築(マンション)へと世帯年収が上がるという図式は、理にかなっていると思います。


ただここ数年で、インターネットを通じて国内・外問わず、色々な生活スタイルが浸透していく中で、住む場所に対する価値観の多様化は間違いなく進んでいます。


例えば、中古マンションだからこそ、立地が良い場所にあるから、躯体のグレードや築年数にとらわれず、リノベーションで住空間をつくる世帯であったり。


はたまた、持ち家を持つことで、暮らす場所を制限されるのを嫌う世帯が、あえて家を買わず、賃貸で暮らし続けるというスタイルも増えてきています。


なにが正しいだとかの話ではありません。笑

今やインターネットと通じて、住宅の色々なスタイルに触れることができますし、意外と簡単に情報収集もできる時代です。

どんな暮らしを実現したいのか?という住宅に関する主体的な考え方を身につけていくことが大事なんだろうなと感じますね。



条件整理をすると「あれ?」と思うことが。


新築をお考えの方が、家づくりを進めていく上で、設計士の方と打ち合わせをすることになりますが、そこでまずやるのは「条件整理」です。

「家族何人でお住まいになりますか?」

「土地をお持ちですか?無いなら、どちらに住みたいですか?」

「働く場所と住む場所はどうお考えですか?」


家を建てるということは、そこにこれから何十年も住むという前提でイメージを膨らませつつ、話をすすめることになります。

その中で、今までよくイメージできていなかった潜在的なものが表に出てくることで、「あれ、家の考え方が変わったな・・」ということが多々あります。

状況によっては、大きく場所が変わったり、家の大きさやスタイルが変わったり、はたまた「持ち家いらない」なんて考え方になったりもします。


高いお金をかけて買うものですから、しっかりと家づくりに対する考えを突き詰めておきたいところですね。

皆さんの家づくりが、より暮らしを豊かにするものになりますように願っています。


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