コラム|暮らしのデザイン

Part.1|新しい住まいのカタチ「トレーラーハウス、タイニーハウス、小屋...」

2020/02/18



10年前と、住まいの考え方、変わっていませんか?

ここ最近、インスタなどSNSを使う方も増え、トレーラーハウスやタイニーハウスなどのキーワードも多く目にするようになっています。

そんな新しい住まいのカタチの認知度が上がってきている中で、徐々に私たち自身も「理想とする家」や「やってみたい暮らし」も変わってきているはずです。

そんな住環境や暮らしかたにおける新しい価値観や考え方について触れてみようと思います。



トレーラーハウスやタイニーハウスが認知され始めてきた


地震、津波、火災といろいろな自然災害が発生すると、かならずや必要となる一次的な住まいの提供ですよね。

それに、今年2020年は東京オリンピックの年でもあるため、宿泊施設となる旅館やホテルなどのキャパを超える特需で、住宅の不足が騒がれたりもしています。

そこで注目を浴びているのが、トレーラハウスの存在。

土地に根付いた大きめの住宅と比較すると、大きさや広さは小さめで、価格帯も比較的安く、それに「移動ができる」という要素も加わったこともあって、「あれ?こんな暮らしかたもアリかも?!」と、少しづつではありますが、認知度は上がっているようです。


そんなトレーラーハウスが日本へ輸入され始めたのは1990年頃。

認知度はそんなに上がることはなかったものの、アウトドア好きな方には人気で、レジャー感覚でトレーラーハウスでいろいろな遊びかた・使いかたをして楽しんでいたそうです。

しかし、トレーラーハウスという一風変わった住まいのスタイルに、日本の建築行政が追いついておらず、「土地に定着する建築物なのか?、タイヤがついているから、住宅ではなく車両扱いなのか?」など規定が定まらず、建築行政的には脱法行為だ!とまで、言われる始末だったよう。。







今だからこそ、受け入れられ始めた新しい住まいのカタチ


冒頭にお伝えした、自然災害による住宅の価値感を考え直すきっかけは、多分にあったと思います。

特に、東日本大震災で多くの住宅が焼かれ流されたあの映像は衝撃的で、家を失い、行き場を失った家族たちの悲痛な想いに触れた方も多々いらっしゃったと思います。


そんな時代に成人し、社会を渡り歩く、1980年代から2000年頃に生まれた世代、いわゆるミレニアル世代。

この世代の人たちは、ネット社会で多種多様な住まいを通した生き方を学び、そして考えてきているからこそ、やはり新しい住まいの価値観を持っているなとよく感じます。

インスタなどがSNSの主流となる世の中では、「タイニーハウス」「小屋」「コンパクトハウス」「平屋」など、ハッシュタグで検索すると多くの住まいのカタチに触れることができますよね。


全体的な印象としては、「コンパクトな家を持つ」というベースの考え方があるようにも感じます。

例えばですが、マンションのリノベーションが流行っている理由もそこにあるように思っていて、広さ70㎡ほどのフラットな平屋の様なスペースをリノベーションして、新しい拠点にするという考え方です。

広さを求めすぎずコンパクトに、そして安く、住まいを持つという住宅の価値観であり、これに「移動ができる」という意味が加わり「トレーラーハウスで暮らす」という選択肢に派生しているのでは?と考えられます。


そこに加えて、2018年の半ばころから、金利が徐々に上がり始めている傾向に。。

背伸びして買った融資枠いっぱいの住宅ローンでは、購入後の返済が厳しくなるかも・・という見方もあってか、もっとコンパクトに安く家を持とう・・という気持ちにシフトしてきているんだとも思います。





どんな住み方、暮らし方が流行ってきているの?


SNSなどで、世界といともカンタンに繋がれる時代。

当然、世界の住まいの在りかたや暮らしかたも、知りたいと思えば、幾らでも多種多様な住宅の情報を集めることはできますし、「あ、この暮らししてみたい~♪」や「こんな家が欲しかった!」や「日本にはないこんな家を建てたい」など、日本の家の価値観をひっくり返すほどの情報に溢れているものです。


現に、北欧や南欧、カリフォルニアテイストなど、取り入れてみたかった憧れに近いものを造っている建築会社やハウスメーカーも増えてきていますね。

とても良い傾向だと思いますし、何十年と住み続ける家だからこそ、そこのこだわりは大事にしたいところですよね。


さて、では最近の暮らしかたのトレンドはなんでしょう?

それは、住宅に「付加する」部分に価値を見出され始めたところだと感じています。

例えば、リビングや寝室などとは別で、屋根裏空間をつくり趣味を楽しむ隠れ家的空間をつくってみたり。

はたまた、目の前の庭にデッキを設け、そこに繋がるようにリビングを配置して、アウトドアリビングが楽しめる空間にしてみたり。

大きなガレージをつくり、車庫機能だけではなくDIYなどの趣味の工作スペースもつくって楽しめる空間をつくってみたり。


だんだんと住宅の必要性が、今までは「住む」ものだったのが「暮らす・使いこなす」に変わっているきているのだと思います。

そこから派生したAirbnbという民泊サービスも、家の使いかたを見直した面白いサービスだと思います。

いよいよ、国内の空き家数が800万戸を超えた日本だからこそ、家に対する考え方がかわり、使いかたが変わってくる、住宅業界の過渡期に入っているのやもしれませんね。




>>>Part.2に続く


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