コラム|暮らしのデザイン
Part.2|新しい住まいのカタチ「トレーラーハウス、タイニーハウス、小屋etc」
2020/02/19
Part.1では、最近のミレニアル世代に話題となっている、様々な住まいのカタチについてのトレンドなどを書きましたが、その続きでは少し具体的に、法的な側面や実際に使うにはどうなの?という視点で触れてみようと思います。
建築基準法の建築物として見るのか否か?
1990年頃から、アウトドアレジャーとして広がり始めたトレーラーハウスやタイニーハウス。
しかし、法的な整備がぜんぜん整っていなかった日本では、「土地に定着する建築物なのか?、タイヤがついているから、住宅ではなく車両扱いなのか?」など規定が定まらず、建築行政的には脱法行為だ!とまで、言われる状況だったと言います。
そんな中、2002年に建築基準法の項目に「車両を利用した工作物」というものが項目が追記。
その項目の中では、大まかな話をすれば、キャンピングカーやトレーラーハウスなどのうち、「土地への定着性があるもの」については、建築物とみなすとされており、建築基準法が適応されるということになりました。
この「土地への定着性がある=建築物として取り扱う」とはどういうものなのか?を具体的に言うと。。
▪トレーラーハウス等が随時、かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの。
▪給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等をトレーラーハウス等に接続する方式が、簡易な着脱式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの。
▪その他、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの。
ちなみに、設置当時は定着性がなかったとしても、その後に土地への定着性が認められた場合には、建築物として取り扱うことが適切であるとされています。
その後、2011年に起きた東日本大震災以降、トレーラーハウスなどを事業用の店舗や公共の施設に活用したいという案件が増えたことを受けて、国土交通省がそれに応える形で翌年2012年には制度改定が行わました。
車幅2.5メートル以上のトレーラーハウスは運搬が規制されていましたが、基準緩和の認定を受けた上で「特殊車両通行許可」を取得することで運行することが可能になりました。
ただし、運行時の速度制限や車両の前後への誘導者の配置など、通行の安全性を確保する必要をする、という前提で。
トレーラーハウスの法的な基準のまとめ
まずは、なにより「建築物」か否か。
土地への定着性の有無であり、任意且つ、適法に移動が可能かどうかということです。
▪トレーラーハウス等が随時かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの。
▪給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等をトレーラーハウス等に接続する方式が、簡易な着脱式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの。
▪その他、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの。
そこに、車両の車幅をもとに移動のルールをまとめると。
▪車幅2.5メートル未満(保安基準第2条の制限内)のトレーラーハウス:車検の取得が必要です。
▪車幅2.5メートルを超える(保安基準第2条の制限を超える)トレーラーハウス:基準緩和の認定を受けたうえで「特殊車両通行許可」が必要です。
これらの法的な側面を上手くクリアして、上手に活用したいものですね。
こんなオシャレなトレーラーハウスも
アウトドアブランドでお馴染みのスノーピーク。
そんなおしゃれなアウトドアブランドが建築家隈研吾とコラボしてつくったモバイルハウスがあります。
よくあるトレーラーとは違って、想像以上に、そして良い意味で、質素。笑
木のパネルを組み合わせただけの、ちょっとミニマムで飾り気は少ないように感じますが、採光用のガラス面を大きくとっているので、そこを開ければすごく開放的で、中と外の境界線を無くす感じがすごく良いですね。
こんなトレーラーハウスを引っ張って、川のほとりでゆっくりするなんてこともできるわけです。
機能にこだわっている車両もあれば、あえて質素でミニマムに攻める車両もある。
それぞれがどんなトレーラーハウスライフを求めるかで、まったく違ってきますし、そして、それに応えるべく、いまや色々なカタチの「車両型の暮らし」があるということですね!
最近では、コンテナハウスという選択肢もあります。
これは、輸送船などで運ばれてくるときに使われるコンテナを使った家です。
コンテナハウス『IRON HOUSE TETSUYA』|東京都八王子市
コンテナもまた同様に「箱形」のシンプルなカタチなので、それを積み木のように横に並べたり、縦に積み重ねたりすることで、フレキシブルに大きな空間に変えていくことができるものです。
見てるだけでも、なんだかワクワクしてきちゃいますよね。
当然のことながら、これも運搬することが可能となるので「どこでも」引っ越し可能ということになります。
法的な条件をクリアすれば、こんなにフレキシブルに暮らしや生活環境を変えることができる。
今までの住まいや暮らしの価値観を捨てて、一度、チャレンジしてみるのも楽しいのかも?!
デザイン工務店|ウェブマガジン編集部
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