コラム|暮らしのデザイン

自転車通勤のススメと、コロナ後の都市計画

2020/09/04



私は、仕事時の交通手段として、5年程前からもっぱら自転車を使っています。

名古屋市内に住み、オフィスが集中する名古屋駅から伏見駅周辺へ自転車で向かうのに20分程度ですし、なにより駐車場探しに苦労することがないので、もうすっかり自転車で立ち回ることが染みついてしまった・・というところでしょうか。


ここ最近では、通勤時の満員電車によるコロナウィルス感染のリスクを避けようと、自転車を使い通勤する人が増えてきています。

そんなコロナ後の自転車ある暮らしや、国土交通省が考えるコロナ後の都市計画に触れながら、書いていこうと思います。



8/31リリースされたまちづくり計画

先月末に、国土交通省都市局より、都市再生や都市交通、公園緑地や都市防災のほか、医療、働き方など、様々な分野についての方向性についての資料がリリースされました。


この資料の大きな論点は、やはり新型コロナ危機についてです。

約半年前からガラッと変わった私たちの暮らし・・その中でも特に変わったので、テレワーク導入による働き方の変化ですね。




以前の記事でも書きましたが、仕事をする場所と暮らす場所が近くなる「職住一体」の考え方が広まり、人々の価値観や意識が大きく変わってきたと思います。

その意識や価値観の変化に合わせて、いままで考えられてきた行政のまちづくり計画も大きく見直そうという考え方が示された資料となっています。


要は、このリリースされた資料では、「三つの密」の回避をしつつ、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図る新しいまちづくりを目指す上での、各分野別での方向性を示した資料ということになります。


人や機能等を集積させる都市そのものの重要性に変わりはなく、国際競争力強化やウォーカブルなまちづくり、コンパクトシティ、スマートシティの推進は引き続き重要だと表現しています。

そして、こうした都市政策の推進に当たっては、新型コロナ危機を契機として生じた変化に対応していくことが必要であり、柔軟性・冗長性が欠かせないと言われています。




具体的には、、

▪大都市は、クリエイティブ人材を惹きつける良質なオフィス、住環境(住宅、オープンス

ペース、インターナショナルスクール等)、文化・エンタメ機能等を、郊外、地方都市は、住む、働く、憩いといった様々な機能を備えた「地元生活圏の形成」を推進。

▪大都市、郊外、地方都市それぞれのメリットを活かして魅力を高めていくことが重要。

▪様々なニーズ、変化、リスクに対応できる柔軟性・冗長性を備えた都市が求められる。

▪老朽ストックを更新し、ニューノーマルに対応した機能(住宅、サテライトオフィス等)が

提供されるリニューアルを促進。

▪郊外や地方都市でも必要な公共交通サービスが提供されるよう、まちづくりと一体となっ

た総合的な交通戦略を推進。

▪自転車を利用しやすい環境の一層の整備が必要。

▪街路空間、公園、緑地、都市農地、民間空地などまちに存在する様々な緑や

オープンスペースを柔軟に活用。

▪リアルタイムデータ等を活用し、ミクロな空間単位で人の動きを把握して、平時・災害時ともに過密を避けるよう人の行動を誘導。

▪避難所の過密を避けるための多様な避難環境の整備。


その中でも、都市交通(ネットワーク)の今後のあり方と新しい方向性について、触れてみようと思います。





コロナきっかけで生じた変化と、今後の方向性とは

今回のコロナをきっかけに生じた変化として、、、

▪公共交通の利用への不安やリモートワーク推奨の結果、公共交通利用者が減った。

▪移動時間等の削減により時間価値の重要性が強く認識されるようになった。

▪近距離の移動については、公共交通から自転車に転換している可能性大。

▪公共交通について、感染リスクも踏まえた密度や施設のあり方の対応も必要に。

▪歩行者にとっての過密の回避、居心地の良い環境へのニーズの高まりのため、都市のウォーカブル空間の重要性が高まってきた。


そんな変化が生じている中で、今後の方向性として、、、

○ 混雑状況のリアルタイム発信等により、過密を回避し、安心して利用できる環境が必要。

○ まちづくりと一体となった総合的な交通戦略を推進する必要。

○ 公共交通だけでなく、自転車、シェアリングモビリティなど、多様な移動手段の確保や自転車が利用しやすい環境整備が必要。

○ 駅周辺に生活に必要な都市機能を集積させ、安全性・快適性・利便性を備えた「駅まち」空間の一体的な整備も必要。

○ 適切な密度の確保等新しい街路空間の考え方の導入が必要。


という方針が国交省都市局の方向性として謳われており、私たちの暮らしの中で「もっと自転車を使おう」という流れがこれからさらに加速していくと予想できます。


都市計画の中で盛り込まれるであろういろいろな整備される道路や公園、これからのあり方は冗長性を含んだものになっていくのでしょう。



シェアサイクルの導入も着々と

例えば、愛知県内では、名古屋市、岡崎市、安城市ですでに導入されており、これらの計画に沿わせる形で増加していくと思われます。


導入自治体  名称    サイクルポート

名古屋市 でらチャリ    市内 5 箇所

     カリテコバイク  市内 14 箇所

岡崎市  HELLO CYCLING 市内 13 箇所

安城市  レンタサイクル  市内 11 箇所 






自転車通勤による意外な運動量とストレス軽減

会社員であれば、ほとんどの方が経験するであろう満員電車のストレス。

一日のスタートが、このストレスからはじまることで、会社に着いた頃には「もうなんだか疲れてる」といったよく分からない疲労感にやられることも・・。


それを自転車通勤に変えることで、そのストレスから解放されることになるだけでなく、程よい運動を兼ねることになるので、電車通勤とくらべて、気持ちの良いスタートをきれるようになったという実感が持てるひとも多いはずです。


これから、自転車通勤を始める方は、自転車のハンドルやタイヤの形状の違いから、ロードバイクにするのか、クロスバイクにするのかを悩まれる方も多いかと思います。

また、男性と女性でもサイズが違ったり、自転車の今までの経験値によっても選ぶものが変わってくるはずです。


ご自分に合った自転車を選び、交通ルールを守りつつ、これからどんどんと変わるであろう私たちのワークスタイルを、より豊かなものにしていきましょう。


デザイン工務店 編集部

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