家づくりのこと

耐震基準の話。~自宅の安全性をチェックしよう~

2021/06/03


地震大国と呼ばれる日本。

数十年に一度、大きな地震災害が起きてきた中で「防災・安全」の面で、建築基準法は随時見直されてきました。

そして、直近で起きると言われている南海トラフ大地震・・これから起きるであろう大きな自然災害に向けて、私たちは防災面を深く知り、そして考え対処することを覚えなければいけない状況にあると思います。

今回は、そんな耐震基準をベースに、ご自宅の安全性をチェックしてみようというお話。ぜひ、参考にしてみてくださいませ。



よく聞く耐震基準の「新・旧」とはなに?


皆さん、今まで耳にされたことはあると思われるキーワード「新耐震基準」と「旧耐震基準」の2つ。

まずは、この違いについてですが。


建築基準法は、1950年に定められたもので、人命の保護や財産の保全を目的とした法律で、原則、日本の建物は全てこの基準を守らなければいけないようになっています。

人命の保護、財産の保全を目的としているので、「この基準では足らない・・」となれば、当然、見直しが入ります。

日本の建築基準法は、国内で起きる大きな地震災害の度に、見直されてきました。


参考:日本建設業連合会



この表でもわかる通り、大きな地震が起きる度に、その被害状況を踏まえ、建築基準を見直す・・ということを繰り返しています。

その建築基準の見直しで、大きな変化があったのが、1981年6月の建築基準法改正。

ここが、建築基準法の耐震基準「新・旧」の分かれ目です。


そして、新耐震基準が制度化された後、起きたのが1995年の兵庫県南部(兵庫淡路)地震。

これは住宅街を含む広いエリアで大きな被害があり、その中でも特に旧耐震基準の建物において甚大な被害が集中していたことが確認されました。

そのことから、耐震診断も1981年を節目とした建築基準法のハードルをどう超えるか?という考え方が浸透し、現耐震診断の診断方法や対処法が生み出されていると言えると思います。




耐震診断。例えば、どんなことするの?


前述している通り、改定され続けてきた建築基準法と、地震災害の経験から、旧耐震基準の建物は耐震診断の上、耐震補強をすることが望ましいという判断になるわけですが、実際は、建物の状況(構造、形状等)にもよる部分が多い・・。


それを分かりやすくシンプルに言いますと・・

□真上・真横から見て、偏りなく四角に近いか

□壁がバランスよく配置されているか

□壁の量は適正か

□建物内にガレージがあるか

□建物の劣化に対して対処しているか

□地盤は沈下していないか

□基礎にひび割れはないか

...etc

などが挙げられます。


これらに対して、必要な耐震補強をするわけですが、例えば、、

■壁の補強として、筋交いを入れる。

■基礎の補強として、部分的に基礎工事をする。

■接合部の補強として、金物をいれる。

・・などの工事をし、地震災害時のダメージを軽減していきます。


上記ポイントはイメージし易いと思いますので、該当するポイントが多く「大丈夫かな?心配だな。。」という方は、耐震診断をおススメします。




耐震等級ってなに?


耐震を考えることで家の安全を担保するということですが、その耐震の目安にはどんなものがあるのか?

その地震に対する建物の強度を示す指標として、「耐震等級」があります。

住宅の性能表示制度を定める「品確法」に沿って制定されたもので、建物の耐震性能によってランクを3段階に分けています。

この数字が大きい程、建物の耐震性能が高いため、建物を買う時の目安となります。


◇耐震等級1

:建物に備わっているべき最低限の耐震性能を満たしていることを示すもの。

震度6強から7に相当する、数百年に一度起こる大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。


◇耐震等級2

:耐震等級2は、上で示した耐震等級1の1.25倍の倍率の耐震強度があることを示すもの。

「長期優良住宅」として認定されるには、耐震等級2以上の強度を持たねばならず、災害時の避難場所として指定される学校や病院・警察などの公共施設は、必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。


 ◇耐震等級3

:耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示すもの。

住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルであり、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。




耐震構造・制振構造・免震構造って何が違う?


そもそも耐震とは、建物そのものを強くして、地震に耐えうる構造にすることです。

それと比較して「制振」とは、地震の揺れを吸収する装置を使った構造にすることで、「免震」は地震の揺れをかわす装置を使

った構造にすることです。


参考:THK


耐震構造

日本の住宅の多くがこの耐震構造です。

イメージとしては、地震の揺れを受けて「耐える」といった構造ですね。

ほとんどの住宅が耐震構造である中で、建築基準法の耐震基準が新・旧と変わってきているので、今の耐震基準であればまれに起こる大きな地震でも耐えられるものとなっています。


制振構造

ダンパーと呼ばれる制振装置を組み込んだ建物構造です。

だいたい20-30%ほど地震の揺れを吸収するといった効果があり、大きな地震でもひび割れ程度で済むなど、被害を少なくすることができます。


免震構造

建物の基礎となる部分で、地震の力をかわす構造です。

足元で、地震をかわす構造なので、建物内が激しくゆれることを防ぐので、家具の転倒などの危険性も低くなります。

建築コストは多少上がりはしますが、高層階のマンションなどに使う機会が増えてきているようです。



いかがでしょうか。

今お住まいの住宅の構造、形状、グレードを調べてみる他、築年数から耐震基準も調べてみることで、住む人の安全や財産を守るなど今できる地震対策が考えられるやも知れません。

一事が万事。いま一度、耐震度合いを調べてみる機会にしてみてはいかがでしょうか?



デザイン工務店 編集部



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