田の字の家
囲には田園風景がひろがる築53年80坪の日本家屋。
若い夫婦と子が住居として日本家屋を購入しリノベーションをすることとなりました。
53年前の日本家屋を新しい生活の場として次の世代へ住み継がれていくことをコンセプトとし、古く良きモノと新しいモノとを調和させ、そこに中間領域を織り交ぜたような住宅はできないかと考えました。
まずは築53年の中で増改築された部分を取り除き、本来の日本家屋の様式である田の字の空間に戻しました。これは、増築されたことにより、光を取り入れることができない場所
や、各部屋こどに新しく作られた間仕切りにより広がりや繋がりを無くすものでした。
この部分を取り除きもとにあった日本建築に形に戻すことで生まれる空間の良さを確認
しました。
そして、そこに生活する上で最低限必要な空間のボリュームを落とし込んでいきました。
そうすることで、必要のない空間(余白の空間)が生まれました。そこに私たちは、外的要素を挿入していくことを試みました。こうすることで、自然光を取り入れたり、風の抜け道
を作ることに成功しました。
また、元々和室だったところを坪庭にしたり、縁側を外部に見立てたりすることで様々な要素が織り交ざりあう空間の心地よさを作り出しました。
本来、外と中は壁や窓で分けられてしまいますが、室内に外のような空間をつくることに
より、ゆるやかに外部と内部を繋げることができました。この場所は、心地よい光と
自然の風が抜ける居心地の良い空間となりました。
昔からある素材を残しつつ空間を新しく作りなおし、そこに外部的要素を挿入することで
古くからある木材と新しく作られた壁に光と風を取り入れ、新しくもなつかしさを感じる
ことのできる豊かな“暮らし”を生みだしています。